関西クラスタラジオ特別編 「関西クラスタが礒井さんに出会ったら」


 

「人が集まるライブラリー」をコンセプトに、「まち」で働き、「まち」で生活する人びとが自分たちの目線でつくりあげていく「まち塾」「まちライブラリー」。これらのスペースを開設し長年「場作り」に携わってきた礒井純充さんにお話を伺いました。

今回のインタビューの内容を大きく要約すると、以下のようになります。

  1. 礒井さんの経歴紹介 − 森ビルからまちライブラリーへ。まちづくりとはなにか。
  2. 大阪のこれから? − 経済と文化をどうやって共生させていくか。
  3. 縮小社会における社会の設計 − 二つの時間を生きていくということ

 インタビューは礒井さんの経歴紹介から始まりました。森ビルに入社し、デベロッパーとして関わった「アーク都市塾」「六本木アカデミーヒルズ」、そして現在の「まちライブラリー」に至るまでどのように考え方が変わったかというお話をしていただきました。
 加えて、礒井さんが生まれ育った大阪という「まち」についても議論しました。「なんぼ」という言葉に象徴されるように、大阪では実利的なものや経済合理性が重要とされる傾向があります。同じ関西にある京都あるいは東京との関係性について、またよく言われている「大阪の中心部に大学がない」という問題についても論じながら、阪急の小林一三の都市計画や工場等制限法(1964)の影響など歴史的な話にも発展しました。そんな大阪ですが、礒井さんは最近ISまちライブラリーの周りが面白い街になってきていると言います。地価下落によって若者が流入してくることで新しい店が生まれていることなど、まちの代謝が促されているようです。そんな大阪の現状を知る事も出来ました。

 最後にまとめとして、今後最も重要になってくるである「縮小社会の問題」と「若者」についてお話していただきました。成長時代は椅子取りゲームの椅子を増やす事が出来ましたが、椅子がどんどん少なってきている現代を生きる若者は、経済合理性とそれに回収されない資本のバランスをとることが必要とされてきます。実際にそういった若者が増えてきているというのが礒井さんの分析ですが、加えて、そんな現代で社会と折り合いをつけて行きてくためには「発酵」しながら生きていくことが大事だとおっしゃいます。周りの空気や水分を吸収しながら、発酵していくこと。生物としての限界を見つめた上で生きていくこと。大きな話でまとめるならば、生物としての円環的時間と科学や歴史といった直線的な時間の二つの時間を両方生きるということが大事だというお話が出来ました。

 以上がインタビューの大まかな要約です。他にも様々な話が展開されているので、詳しくはポッドキャストをお聴きください。
 このインタビューは、ポッドキャストにも収録されている通り、全くの偶然での収録でした。関西クラスタのぼくたちの無理なお願いを快く引き受けていただいた礒井さんにはお礼を申し上げます。(文:小林勝平)

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インタビューを快く引き受けてくださった礒井純充さん

インタビューを快く引き受けてくださった礒井純充さん

経歴
礒井 純充(いそい よしみつ)氏 森ビル株式会社 広報室 取締役広報室長 1981年4月、森ビル株式会社へ入社。 1987年、社会人教育機関「アーク都市塾」の立ち上げに携わる。1996年、都心での産学教育・研究連携活動拠点「アカデミーヒルズ」事業を提案する。IT関連事業の構想・実施を経て、2003年、「森アーツセンター」、「六本木アカデミーヒルズ」を開設、知的交流拠点「スクール」「ライブラリー」「フォーラム」事業の総合事務局長を務める。 2005年9月、社長室広報部長に就任、 2006年8月、取締役広報室長に就任。現在は「人が集まるライブラリー」をコンセプトに関東と関西を中心に「まちライブラリー」を立ち上げている。

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